とびうお(飛魚)
[英flying fish]
トビウオ科の海魚。
[特徴]名前のとおり、海面を飛ぶことができる。翼は胸びれ、腹びれが発達したもの。体は紡錘形で軽く、浮き袋も大きいなど、飛行に適した体をしている。尾びれは、二またで下側が長く、これを波に打ちつけてジャンプする。ときには、一気に400mも飛ぶこともある。とびうおが空中に飛ぶことは昔からよく知られており、『本朝食鑑』や『和漢三才図会』などに、飛行状態を観察した文章が出ている。内臓が小さく、食べたらすぐに排泄できる機能をもっているため、鮮度が落ちにくい。白い身は、水分が多くやわらかいが、味は淡泊である。世界じゅうの温帯から熱帯の海に群れをなして生息し、産卵期の春から夏にかけて南海から北上してくる。春に来る種を春とび、夏にやってくる種を夏とびと呼んでいる。
〔種類〕日本近海だけでも三十種類以上を数えるが、食用として重要なもののみをあげる。
●とびうお 本とびともいう。体は細長い紡錘形で、長さは約35?、胸びれがその4/5にも達する。大きな丸いうろこでおおわれた体は、金属的な光沢感がある。体色は、背部が青みを帯びた暗色で、腹部は銀白色をしている。南日本一帯から太平洋の熱帯域に分布している。
●浜とびうお 体長50?にもなる日本近海では最大のとびうお。おおとびともいう。味はよく、産卵期(4〜5月)にとれる30?以上のものは、とびうおの中でも最も美味である。晩秋から冬にかけて、九州や四国の太平洋側で、早春に伊豆諸島で、晩春と初秋には房総沖で漁獲される。
●つくしとびうお 体長約35?。北海道以南の日本各地に分布。とびうおの中では漁獲量が最も多い。幼魚は干して、だし用にする。
●ほそとびうお 体長約28?の小型種。北海道以南の日本各地に分布。幼魚は煮干しに加工される。
〔旬、流通事情〕とびうおは初秋が旬で、初夏から秋に出回る。浜とびうおは冬から春が旬。つくしとびうおは夏が旬で、初夏から秋にかけて出回る。ほそとびうおは晩春が旬で、晩春から秋にかけて出回る。
〔選び方〕●全体的にみずみずしく、光沢に富み、背部が青々と輝いているようなものがおいしい。●新鮮なものは、目が黒く澄んでいる。
〔料理法〕和/新鮮なものはさしみにする。木の芽焼き、しんじょにして椀だねにする。洋/ムニエル、フライにする。中/鍋焼き、蒸し物、揚げ物にする。
〔調理上の注意〕●おろしたものをざるに並べ、塩を軽く振って1時間ほどおくと、余分な水分や生ぐさみが抜ける。●やや濃いめの味つけが合う。
〔加工品〕伊豆諸島のくさやや、鳥取のあごちくわ、つとかまぼこ、つみれなどがある。九州では、あごと呼ぶ幼魚を干物や煮干し、焼き干し、だし用に使う。
とびこ(飛子)〜飛魚の卵(真子)の塩蔵品。黒緑色に染めたものは人工キャビアとして市販されている。主にカナッペ、オープンサンドなどに用いている。
THE ENCYCLOPEDIA OF COOKING AND FOOD